平成23年度税制に関する改正点(続)
 

M E N U

平成23年度税制改正再修正法と復興財源確保法が平成23年12月2日に公布・施行されました。

<税制改正再修正法>
経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律
  • 法人税の税率の引き下げ(法人税)
  • 減価償却制度の見直し(法人税・所得税)
  • 欠損金の繰越控除制度の見直し(法人税)
  • 寄附金の損金算入限度額の見直し(法人税)
  • 貸倒引当金制度の見直し(法人税)
  • 更正の請求の権利義務の拡大(国税通則法)
  • 税務調査手続等の見直し(国税通則法)
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    <復興財源確保法>
    東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法
  • 復興特別法人税の創設(法人税額の上乗せ)
  • 復興特別所得税の創設(所得税額の上乗せ)
  • 個人道府県民税及び市町村民税(均等割額の上乗せ)
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    最終更新日:2012.3.1

    T O P 平成23年度税制改正点(続) 平成23年度税制改正点

    法人税の税率の引き下げ(法人税)


    法人税の税率が次のように引き下げられました。

    この改正は、平成24年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用されます。

    1. 各事業年度の所得に対する税率

      • 普通法人の税率・・25.5%(現行30%)

      • 中小法人(一般社団法人等及び人格のない社団等を含む)の軽減税率・・19%(現行22%)

      • 公益法人等又は協同組合等の税率・・19%(現行22%)

      (注)中小法人等(公益法人等又は協同組合等を含む)の軽減税率については、引き下げに関する 経過措置が設けられています。

      • 平成24年3月31日までの間に終了する事業年度の軽減税率・・18%

      • 平成24年4月1日から平成27年3月31日までに開始する事業年度の軽減税率・・15%

    2. 各連結事業年度の連結所得に対する税率

      • 普通法人である連結親法人の税率・・25.5%(現行30%)

      • 中小法人である連結親法人の軽減税率・・19%(現行22%)

      • 協同組合等である連結親法人の税率・・20%(現行23%)


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    減価償却制度の見直し(法人税・所得税)


    減価償却制度について次の見直しが行われました。

    1. 250%定率法から200%定率法への変更

      減価償却制度について、平成24年4月1日以後に取得する減価償却資産の定率法の償却 率は、定額法の償却率(1/耐用年数)を2.0倍した割合(現行2.5倍した割合)とされました。 これに伴い、改訂償却率、保証率についても見直しが行われました。

      なお、本改正は取得日を基準とするものであり、3月決算法人以外は期中からの 減価償却方法の変更となることから、次の経過措置が設けられています。

      <法人税>
      平成24年4月1日前に開始し、同日以後に終了する事業年度においては、同日以後に取得した 減価償却資産については、現行の定率法の償却率を適用することができます。

      <所得税>
      平成24年4月1日から同年12月31日までの間に取得した減価償却資産については、 現行の定率法の償却率を適用することができます。
      平成24年4月1日前に取得した減価償却資産について、平成24年分の確定申告期限までに 届出をすることにより、改正後の定率法の償却率により償却費の計算等を行うことができます。

    2. 資本的支出をした場合の取得価額の特例の廃止

      資本的支出の取得価額の特例のうち、資本的支出をした事業年度の翌事業年度開始の時において 減価償却資産の帳簿価額と当該資本的支出により取得をしたものとされた減価償却資産の帳簿価額 との合計額を取得価額として一の減価償却資産を取得したものとすることができる措置について、 平成24年3月31日以前に取得をした減価償却資産と平成24年4月1日以後にした資本的支出により 取得をしたものとされた減価償却資産とを一の減価償却資産とすることはできないこととされました。

    この改正は、平成24年4月1日以後に取得する減価償却資産について適用されます。


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    欠損金の繰越控除制度の見直し(法人税)


    欠損金の繰越控除制度について次の見直しが行われました。

    1. 欠損金の繰越控除制度における控除限度額について、次に掲げる中小法人等を除き、 その繰越控除をする事業年度のその繰越控除前の所得の金額の80%相当額とされました。

      • 普通法人のうち,資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの (資本金の額が5億円以上の法人による完全支配関係がある法人等を除く。) 又は資本若しくは出資を有しないもの(相互会社を除く。)

      • 公益法人等又は協同組合等

      • 人格のない社団等

      この改正は、平成24年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

    2. 欠損金の繰越控除制度における繰越期間が9年(現行7年)に延長されました。
      これに伴い、その欠損金が生じた事業年度の帳簿書類の保存が適用要件とされました。

      この改正は、平成20年4月1日以後に終了した事業年度において発生した欠損金から適用されます。

      (注)平成20年4月1日以後終了する事業年度に係る帳簿書類から9年間保存しておく必要がありますが、 欠損金に係る帳簿保存の規定はその事業年度において欠損金がある場合に限り適用されます。 このため、9年前及び8年前の事業年度が欠損金があった場合に限り帳簿書類の保存が9年間必要となります。


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    寄附金の損金算入限度額の見直し(法人税)


    一般寄附金の損金算入限度額は、資本金等の額の1,000分の2.5相当額と 所得の金額の100分の2.5相当額との合計額の4分の1(現行2分の1)に、 資本金等を有しない法人の場合には、所得の金額の100分の1.25(現行100分の2.5) 相当額に引き下げられ、現行より半減することになりました。

    上記の改正に伴い、特定公益増進法人等に対する寄附金の別枠の損金算入限度額について、 一般寄附金の損金算入限度額の減少額と同額の拡充が行われます。

    この改正は、平成24年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。


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    貸倒引当金制度の見直し(法人税)


    貸倒引当金制度の適用が、以下の法人に限定されました。
    • 中小法人等

    • 銀行、保険会社、その他これに準ずる法人

    • 売買があったものとされるリース資産の対価の額に係る金銭債権等を有する法人等

    上記以外の法人については、平成24年4月1日から27年3月31日までに開始する3年間の 各経過措置事業年度で、一括評価金銭債権に係る損金算入限度額が4分の1ずつ段階的に縮小し、 その後は廃止されます。

    • 平成24年4月1日から平成25年3月31日に開始する事業年度:現行の4分の3

    • 平成25年4月1日から平成26年3月31日に開始する事業年度:現行の4分の2

    • 平成26年4月1日から平成27年3月31日に開始する事業年度:現行の4分の1

    なお、一括評価金銭債権を求める際の貸倒実績率の計算上、分子の個別評価貸倒引当金繰入額は 段階的に減らす必要はなく、従前どおり「4分の4」と仮定した場合の金額が認められています。

    この改正は、平成24年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。


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    更正の請求の権利義務の拡大(国税通則法)


    1. 更正の請求期間等の延長

      納税者が行う「更正の請求」について、請求をすることができる期間を原則として5年(現行1年)に 延長することとされました。

      上記の改正に併せ、課税庁がする増額更正の期間制限について、原則として5年(現行3年)に 延長することとされました。

    2. 更正の請求の範囲の拡大

      当初申告要件の廃止や控除額の制限の見直しが行われ、更正の請求の範囲が拡大されました。
      これにより、当初申告において明細書の記載と添付がなければ特典を受けられない要件がある制度の 一部についてこの要件が廃止されるとともに、控除額を当初申告に記載した金額に限定される 規定について、更正の請求により正当額まで控除額を増額できることになりました。

      <法人税>

      • 受取配当等の益金不算入制度、外国子会社から受ける配当等の益金不算入制度、 国等に対する寄附金、指定寄附金及び特定公益増進法人に対する寄附金の損金算入制度、 所得税額控除制度、外国税額控除制度について、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に 適用金額を記載した書類の添付がある場合等に限り適用を受けることができることとされました。 また、適用を受けることができる金額は、当該書類に記載された金額を限度とされました。

      • 会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入制度について、確定申告書、 修正申告書又は更正請求書に適用金額を記載した書類等の添付がある場合に限り適用を受ける ことができることとされました。

      • 協同組合等の事業分量配当等の損金算入制度について、当初申告における損金算入に関する 明細の記載要件を廃止されました。

      <所得税>

      • 給与所得者の特定支出の控除の特例、資産の譲渡代金が回収不能となった場合等の 所得計算の特例、変動所得及び臨時所得の平均課税について、確定申告書、修正申告書又は 更正請求書に当該制度の適用を受ける旨の記載があり、かつ、一定の事項を記載 した書類の添付がある場合について適用を受けることができることとされました。

      • 純損失・雑損失の繰越控除について、損失が生じた年分の確定申告書を期限内に提出し ていることが要件とされていましたが、確定申告書を提出し、かつ、その後において連続 して確定申告書を提出している場合について適用を受けることができることとされました。

      • 青色申告特別控除及び電子証明書等特別控除について、当初申告の確定申告書に記載し た金額を適用上限とする措置が廃止されました。

      <相続税・贈与税>

      • 配偶者に対する相続税額の軽減、贈与税の配偶者控除、相続税額から控除する贈与税相当額等 について、当初申告の確定申告書に記載した金額を適用上限とする措置が廃止されました。

    3. 更正の請求に際し、更正の請求の理由の基礎となる証拠書類の添付が義務化されました。

    この改正は、平成23年12月2日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用されます。


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    税務調査手続等の見直し(国税通則法)


    国税通則法に第7章の2「国税の調査」が新設され、法人税等各個別税法に規定されていた質問検査権等 の規定が国税通則法に一本化され整理されました。
    また、調査に際しての事前通知、調査の終了の際の手続などの規定が新設されました。

    国税に関する法律に基づく申請により求められた許認可等を拒否する処分又は不利益処分について、 課税庁は行政手続法の規定に基づき理由を示すこととされました。

    この改正は、平成25年1月1日以後に新たに納税者に対して開始する調査等について適用します。


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    復興特別法人税の創設(法人税額の上乗せ)


    平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度 において、復興特別法人税が課税されます。
    復興特別法人税の課税標準は基準法人税額(各種税額控除を考慮しないで計算した法人税額 (付帯税額を除く)であり、これに10%を乗じたものが税額となります。

    (注)法人税については、平成23年度税制改正の法人税率の引き下げと同時に適用される ため、平成26年度までの法人税率は28.05%、(中小法人軽減税率16.5%)となります。


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    復興特別所得税の創設(所得税額の上乗せ)


    平成25年1月から25年間に生ずる所得税に2.1%が上乗せ(源泉所得税も上乗せ)されます。


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    個人道府県民税及び市町村民税(均等割額の上乗せ)


    平成26年6月から10年間に生ずる個人住民税の均等割に1,000円が上乗せされます。


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