<ストレインジアトラクター>

アトラクターとは何かを引きつけたり、吸い寄せたりすることを意味します。
カオス軌道を位相空間と呼ばれる座標にプロットすると不思議な形に吸い寄せられますが、これをストレインジアトラクターと呼びます。

蝶の羽のような形をしたローレンツアトラクタ-は三次元の位相空間のなかでループやらせんが 決して合流せず、交わることがありません。

その構造は幾何学的には無限の細部構造をもち、この構造の一部を拡大すると大体同じ様な細部構造を持つという自己相似とよばれる性質があります。


従来、アトラクターは一点に収束する動きを表わす「定常点」と連続的に繰り返す動き(周期運動)を表わす「リミット・サイクル」の2種類しかないとされていました。。
また、二つ以上の周期運動が合成された場合の動き(準周期運動)は位相空間内で幾何学的に見ると、ドーナツ状のトーラス(円環)という形状を示し、全ての力学上の動きはトーラスに落ち着くと考えられていました。
ところが、カオスの状態を表わすアトラクターはトーラスが崩れて、奇妙な形に吸い寄せられるもので、その本質がだれにもわからないという意味でストレインジアトラクターと呼ばれたのです。

ストレインジアトラクターに共通する特徴としては、点をひきはなしたり再び小さな領域にもちこんだりする二つの要因が組みあわさっていること、幾何学的構造がフラクタル構造であることなどが挙げられます。有名なストレインジアトラクターとしてローレンツアトラクタ-やメービウスの帯に似たレスラーのアトラクタ-、京都大学工学部の上田教授の発見したジャパニーズアトラクタ-などがあります。


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