共用資産及びのれんの取扱い


一 共用資産の取扱い

複数の資産又は資産グループの将来キャッシュ・フローの生成に寄与する資産のうち、のれん以外のものを共用資産といいます。共用資産の例としては、全社的な将来キャッシュ・フローの生成に寄与する本社の建物や試験研究施設、福利厚生施設などの全社的な資産があげられます。また、全社的な資産でなくても、複数の資産又は資産グループを含む部門全体の将来キャッシュ・フローの生成に寄与している資産は、当該部門の共用資産となります。

共用資産の取扱いについては、共用資産が関連する複数の資産又は資産グループに共用資産を加えた、より大きな単位でグルーピングを行う原則的方法と、共用資産の帳簿価額を各資産又は資産グループに配分して、配分後の各資産又は資産グループについて減損損失の認識と測定を行う方法があります。以下、各々の方法による減損損失の認識の判定及び測定の手順を示します。

T より大きな単位でグルーピングを行う方法

  1. 減損損失を認識するかどうかの判定は、まず、共用資産が関連する資産又は資産グループに減損の兆候がある場合、当該資産又は資産グループごとに行い、その後、より大きな単位で行う。共用資産を含まない資産又は資産グループに減損の兆候がない場合でも、共用資産に減損の兆候があるときには、より大きな単位で減損損失を認識するかどうかの判定を行う。

  2. 共用資産を含む、より大きな単位について減損損失を認識するかどうかを判定するに際しては、共用資産を含まない各資産又は資産グループにおいて算定された減損損失控除前の帳簿価額に共用資産の帳簿価額を加えた金額と、より大きな単位から得られる割引将来キャッシュ・フローの総額とを比較する。割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額の合計額を下回る場合には、減損損失を認識する。

  3. 減損損失の測定も、まず、資産又は資産グループごとに行い、その後、より大きな単位で行う。

  4. 減損損失を認識すべきであると判定された共用資産を含む、より大きな単位については、共用資産を含まない各資産又は資産グループにおいて算定された減損損失控除前の帳簿価額に共用資産の帳簿価額を加えた金額を、より大きな単位の回収可能価額まで減額する。

  5. 共用資産を加えることによって算定される減損損失の増加額は、原則として、共用資産に配分する。ただし、共用資産に配分される減損損失が、共用資産の帳簿価額と正味売却価額の差額を超過することが明らかな場合には、当該超過額を各資産又は資産グループに合理的な基準により、次のように配分する。

    • 各資産又は資産グループの回収可能価額が容易に把握できる場合には、当該回収可能価額を下回る結果とならないように、当該超過額を、各資産又は資産グループの帳簿価額と回収可能価額の差額の比率等により配分する。

    • 各資産又は資産グループの回収可能価額が容易に把握できない場合には、当該超過額を、各資産又は資産グループの帳簿価額の比率等により配分する。ただし、各資産又は資産グループの一部の回収可能価額が容易に把握できる場合には、当該回収可能価額を下回る結果とならないように、合理的な基準により、回収可能価額が容易に把握できない構成資産に減損損失を配分することができる。

U 共用資産の帳簿価額を各資産又は資産グループに配分する方法

  1. 共用資産の帳簿価額を、当該共用資産に関連する各資産又は資産グループに配分したうえで減損損失を認識するかどうかを判定する。

  2. 各資産又は資産グループの帳簿価額に共用資産の帳簿価額を配分した額を加えた金額を回収可能価額まで減額する。

  3. 共用資産の帳簿価額を配分した各資産グループにおいて認識された減損損失は、帳簿価額に基づく比例配分等の合理的な方法により、共用資産の配分額を含む当該資産グループの各構成資産に配分する。

  4. 共用資産の帳簿価額を各資産又は資産グループに配分する方法を採用するにあたっての留意点。

    • 共用資産の帳簿価額を各資産又は資産グループに配分して管理会計を行っている場合や、共用資産が各資産又は資産グループの将来キャッシュ・フローの生成に密接に関連し、その寄与する度合いとの間に強い相関関係を合理的な配賦基準が存在する場合には、共用資産の帳簿価額を当該共用資産に関連する各資産又は資産グループに当該合理的な配賦基準で配分することができる。

    • 当期に共用資産の帳簿価額を各資産又は資産グループに配分する方法を採用した場合には、翌期以降の会計期間においても同じ方法を採用する必要がある。ただし.事実関係が変化した場合には、この限りではない。

    • 当該企業の類似の資産又は資産グループにおいては、同じ方法を採用する必要がある。

二 のれんの取扱い

営業譲渡や合併において、受け入れた純資産の時価と当該資産を取得するために支払った対価との差額をのれんといいますが、減損会計では、正ののれん(受入純資産の時価を超える対価)のみを対象とします。

のれんが認識される営業譲受や合併等の取引において複数の事業が取得される場合、その帳簿価額は、取得された事業の単位に応じて、以下のような合理的な基準に基づき分割します。

  1. のれんの帳簿価額を分割し帰属させる事業の単位は、取得の対価が概ね独立して決定され、かつ、取得後も内部管理上独立した業績報告が行われる単位とする。

  2. のれんの帳簿価額の分割は、のれんが認識された取引において取得された事業の取得時における時価の比率に基づいて行う方法その他合理的な方法による。

のれんの取扱いについては、のれんが帰属する事業に関連する複数の資産又は資産グループにのれんを加えた、より大きな単位でグルーピングを行う原則的方法と、のれんの帳簿価額を各資産又は資産グループに配分して、配分後の各資産又は資産グループについて減損損失の認識と測定を行う方法があります。以下、各々の方法による減損損失の認識の判定及び測定の手順を示します。

T より大きな単位でグルーピングを行う方法

  1. 減損損失を認識するかどうかの判定は、まず、のれんが帰属する事業に関連する資産グループに減損の兆候がある場合、当該資産グループごとに行い、その後、より大きな単位で行う。のれんを含まない資産グループに減損の兆候がない場合でも、のれんを含む、より大きな単位に減損の兆候があるときには、より大きな単位で減損損失を認識するかどうかの判定を行う。

  2. のれんを含む、より大きな単位について減損損失を認識するかどうかを判定するに際しては、のれんを含まない各資産グループにおいて算定された減損損失控除前の帳簿価額にのれんの帳簿価額を加えた金額と、より大きな単位から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額とを比較する。割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額の合計額を下回る場合には、減損損失を認識する。

  3. 減損損失の測定も、まず、資産グループごとに行い、その後、より大きな単位で行う。

  4. 減損損失を認識すべきであると判定されたのれんを含む、より大きな単位については、のれんを含まない各資産グループにおいて算定された減損損失控除前の帳簿価額にのれんの帳簿価額を加えた金額を、より大きな単位の回収可能価額まで減額する。

  5. のれんを加えることによって算定される減損損失の増加額は、原則として、のれんに配分する。ただし、のれんに配分された減損損失が、のれんの帳簿価額を超過する場合には、当該超過額を合理的な基準により各資産グループに配分する。

U のれんの帳簿価額を各資産又は資産グループに配分する方法

  1. のれんの帳簿価額を、当該のれんが帰属する事業に関連する各資産グループに配分したうえで減損損失を認識するかどうかを判定する。

  2. 各資産グループの帳簿価額にのれんの帳簿価額を配分した額を加えた金額を回収可能価額まで減額する。

  3. のれんの帳簿価額を配分した各資産グループにおいて認識された減損損失は、のれんに優先的に配分し、残額は、帳簿価額に基づく比例配分等の合理的な方法により、当該資産グループの各構成資産に配分する。

  4. のれんの帳簿価額を各資産又は資産グループに配分する方法を採用するにあたっての留意点。

    • のれんの帳簿価額を各資産グループに配分して管理会計を行っている場合や、のれんが帰属する事業が、各資産グループの来将来キャッシュ・フローの生成に密接に関連し、その寄与する度合いとの間に強い相関関係を持つ合理的な配賦基準が存在する場合には、のれんの帳簿価額を各資産グループに当該合理的な配賦基準で配分することができる。

    • 当期にのれんの帳簿価額を各資産グループに配分する方法を採用した場合には、翌期以降の会計期間においても同じ方法を採用する必要がある。ただし、事実関係が変化した場合には、この限りではない。

    • 当該企業の類似の資産グループにおいては、同じ方法を採用する必要がある。



MENU  前へ  次へ