平成20年分確定申告のあらまし 
 

 確定申告とは、納税者が1月1日から12月31日までの1年間に得た所得金額とその所得金額に対する税金を確定して、源泉徴収や予定納税で納めた税金と比べ、納めすぎているか納め足りないかを精算する手続きのことをいいます。
 この確定申告を行なうことによって、税金を納めすぎている人は還付金の払い戻しを受け、納め足りない人は差額の税金を納付することになります。

改正のポイント
  • 住宅の省エネ改修促進税制の創設
  • 特定中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例の創設
  • 上場株式等の配当・譲渡益に係る軽減税率の特例の延長
  • 少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の延長

  • 確定申告の概要
  • 確定申告をしなければならない人
  • 確定申告をすれば税金が戻る人
  • 確定申告の申告期限
  • 確定申告書の種類
  • 所得税の計算順序
  • 所得の種類と計算方法
  • 所得控除の種類と控除額
  • 所得税の税額表
  • 最終更新日:2009.2.19

    T O P 平成20年度税制改正点 平成20年分確定申告のあらまし

    住宅の省エネ改修促進税制の創設


    居住者が、その居住用住宅について一定の省エネ改修工事(200万円を限度)を行った場合に、その住宅を平成20年4月1日から平成20年12月31日までの間にその者の居住の用に供したときは、現行の住宅ローン控除制度よりも省エネ改修工事に係るローン部分の控除率を引き上げ、その改修工事に係る住宅ローン残高(1,000万円を限度)の一定割合を5年間にわたり所得税額から控除するという制度が創設されました。

    この特例は、住宅の増改築等に係る現行特別控除との選択適用とされました。

         
    居住時期 住宅借入金等の年末残高 控除期間・控除率 最大控除額
    平成20年4月1日から平成20年12月31日まで 1,000万円以下の部分5年間
    一定の省エネ改修工事(200万円限度)・・2%
    上記以外の工事・・1%
    60万円
      「一定の省エネ改修工事」とは、(1)居室の全ての窓の改修工事、又は(1)の工事と併せて行う(2)床の断熱工事、(3)天井の断熱工事若しくは(4)壁の断熱工事で、次の要件を満たすものをいいます。

      (イ)改修部位の省エネ性能がいずれも平成11年基準以上となること

      (ロ)改修後の住宅全体の省エネ性能が改修前から一段階相当以上上がると認められる工事内容であること

      (ハ)その工事費用の合計額が30万円を超えるものであること


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    特定中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例の創設


    1. 居住者等が、その年中に特定中小会社であって次の要件を満たす株式会社に出資した金額について、1,000万円を限度として、寄附金控除が適用されることになりました。

      • 設立1年目の株式会社
        中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律に規定する特定新規中小企業者

      • 設立2年目又は3年目の株式会社
        特定新規中小企業者であって前事業年度及び前々事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローが赤字であるもの

    2. 特定中小会社に出資した金額のうち、本特例の適用を受けて総所得金額等から控除した金額は、取得した特定中小会社の株式の取得価額から控除されます。

    3. その他所要の整備が行なわれます。

    4. 特定中小会社が発行した株式に係る譲渡所得等の2分の1課税の特例については、所要の経過措置を講じたうえ、廃止されます。
    この改正は、平成20年4月1日以後に特定中小会社の株式を払込みにより取得する場合について適用されます。


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    上場株式等の配当・譲渡益に係る軽減税率の特例の延長


    上場株式等の配当・譲渡益に係る税率を軽減する特例が平成20年12月31日をもって廃止されます。
    その際の特例措置として、平成21年及び平成22年の2年間、500万円以下の譲渡益及び100万円以下の配当について軽減税率が適用されることになりました。

    • 本則
      株式等の配当・譲渡益に係る税率
       ・・20%(所得税15%、個人住民税5%)

    • 時限的特例
      上場株式等の配当・譲渡益に係る税率
       ・・10%(所得税7%、個人住民税3%)


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    少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の延長


    中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(青色申告書を提出する資本金1億円以下の中小企業者等が30万円未満の少額減価償却資産を取得した場合、当期に取得等をした少額減価償却資産の取得価額の合計額300万円を限度として、取得した事業年度又は年分に全額損金算入等(即時償却)を認める制度)の適用期限が2年延長(平成22年3月31日までに取得する減価償却資産について適用)されました。


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    確定申告をしなければならない人


     1年間に得た所得金額の合計額から所得控除額を差し引き、その金額をもとに計算した税額があるときは確定申告をしなければなりません。

     ただし、サラリーマンは毎月の給与や賞与から所得税が源泉徴収され、12月に年末調整で過不足額の精算が行われるため、次に該当しない限り確定申告の必要はありません。

    1. 給与収入が年間2,000万円を超える人

    2. 給与所得や退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人

    3. 給与を2か所以上からもらっていて、年末調整をされなかった給与の収入金額と給与所得や退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人

    4. 同族会社の役員やその親族などで、その会社から給与のほかに貸付金の利子や不動産の賃貸料などの支払いを受けている人

    5. 給与について災害減免法の適用を受けている人

    6. 家事使用人などで給与の支払いを受ける際に所得税を源泉徴収されていない人

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    確定申告をすれば税金が戻る人


     確定申告をする必要がない人でも、次のような人は、確定申告をすれば源泉徴収や予定納税で納めすぎた税金が戻ってきます。
    1. 源泉徴収された配当や原稿料などの収入が少額で、その他の所得も少ない人

    2. 年末調整を受けたサラリーマンで次に該当する人
      • マイホームをローンで取得した人   
      • 多額の医療費がかかった人   
      • 年末調整のときに申告もれがあって控除を受けなかった人   
      • 災害や盗難にあって被害を受けた人   
      • 特定の寄付をした人   
      • 特定支出額が給与所得控除額を超える人

    3. サラリーマンで、年の中途に退職し年末調整を受けなかった人

    4. 予定納税をしたが確定申告の必要がなくなった人

    5. 退職所得者で、源泉徴収された所得税について定率減税の適用を受ける人

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    確定申告の申告期限


     確定申告は、所得があった年の翌年2月16日から3月15日までの間に行います。確定申告をしなければならない人が、申告期限内に確定申告書を所轄税務署に提出しなかったり確定した税金を納付しなかったときは、加算税や延滞税などが徴収されることになります。
     なお、還付を受けるための申告書は2月16日前でも提出できます。また申告期限後であっても5年間は提出できます。

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    確定申告書の種類


     確定申告書Aと確定申告書Bのいずれかを使用し、分離課税の所得がある場合や損失が生じている場合には、確定申告書Bに併せて分離課税用又は損失申告用の確定申告書を使用します。

    1. 確定申告書A(第一表、第ニ表)

       次の要件のすべてに該当する人が使用します。

      • 給与所得、雑所得、配当所得、一時所得以外に申告する所得がないこと
      • 予定納税がないこと
      • 変動所得・臨時所得の平均課税の適用を受けないこと
      • 繰越損失額がないこと

    2. 確定申告書B(第一表、第ニ表)

       確定申告書Aを使用する人以外の人が使用します。
       

    3. 確定申告書(分離課税用 第三表)

       次の人が使用します。

      • 土地建物等の譲渡所得がある人
      • 申告分離課税の株式等の譲渡所得等がある人
      • 申告分離課税の商品先物取引に係る雑所得等がある人
      • 山林所得がある人
      • 退職所得について申告する人

    4. 確定申告書(損失申告用 第四表(一)、第四表(ニ))

       次の人が使用します。

      • 平成20年分の所得金額が赤字の人(原則として青色申告者のみ)
      • 雑損控除額を平成20年分の所得金額から控除すると赤字になる人 
      • 繰越損失額を平成20年分の所得金額から控除すると赤字になる人 
      • 居住用財産の買換え等の譲渡損失の繰越控除や特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除の適用を受ける人

    5. 修正申告書(別表 第五表)

       確定申告書を提出し、その申告期限後に納税額の過小、還付税額や損失の金額の過大が判明した場合などに使用します。


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    所得税の計算順序


     確定申告をする場合、税額は次の4段階で計算します。

    1. 各種所得の所得金額の計算

       所得を10種類に分けて、各種所得の所得金額をそれぞれ計算します。

    2. 課税標準の計算

       各種所得の所得金額を合計します。なお各種所得に赤字の所得があるときは、その赤字の所得は黒字の所得から差し引きます。また前年以前に発生した繰越損失があるときは、その繰越損失額もここで差し引きます。

    3. 課税所得金額の計算

       課税標準から基礎控除などの15種類の所得控除額を差し引いて課税所得金額を計算します。

    4. 納付額または還付額の計算

       課税所得金額に税率を掛けて税額を算出し、算出税額から税額控除額や定率減税額を差し引いて申告納税額を計算します。さらに既に納めている源泉徴収税額や予定納税額を差し引いて、確定申告で納付すべき税額または還付を受けるべき税額を計算します。

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    所得の種類と計算方法

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    所得控除の種類と控除額

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    所得税の税額表


    課税される所得金額 税 率 控 除 額
    1,000円から 1,949,000円まで 5% 0円
    1,950,000円から 3,299,000円まで 10% 97,500円
    3,300,000円から 6,949,000円まで 20% 427,500円
    6,950,000円から 8,999,000円まで 23% 636,000円
    9,000,000円から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
    18,000,000円以上   40% 2,796,000円

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