平成16年分確定申告のあらまし 
 

 確定申告とは、納税者が1月1日から12月31日までの1年間に得た所得金額とその所得金額に対する税金を確定して、源泉徴収や予定納税で納めた税金と比べ、納めすぎているか納め足りないかを精算する手続きのことをいいます。
 この確定申告を行なうことによって、税金を納めすぎている人は還付金の払い戻しを受け、納め足りない人は差額の税金を納付することになります。

改正のポイント
  • 配偶者特別控除の縮小
  • 土地、建物等の長期譲渡所得の課税の特例
  • 土地、建物等の短期譲渡所得の課税の特例
  • 土地、建物等の譲渡損失の損益通算の廃止
  • 住宅ローン減税の見直し
  • 非上場株式等の譲渡所得の税率の引下げ

  • 確定申告の概要
  • 確定申告をしなければならない人
  • 確定申告をすれば税金が戻る人
  • 確定申告の申告期限
  • 確定申告書の種類
  • 所得税の計算順序
  • 所得の種類と計算方法
  • 所得控除の種類と控除額
  • 所得税の税額表
  • 最終更新日:2005.2.14

    T O P平成16年度税制改正点平成15年度消費税改正点 平成16年分確定申告のあらまし

    配偶者特別控除の縮小


    配偶者特別控除のうち控除対象配偶者について配偶者控除に上乗せして適用される部分が廃止されました。
    なお、控除対象配偶者以外の配偶者については、従来通りの配偶者特別控除が適用されます。

    この改正は、平成16年分以後の所得税及び平成17年度分以後の個人住民税について適用されます。


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    土地、建物等の長期譲渡所得の課税の特例


    1. 長期譲渡所得の課税の特例について、土地、建物等を譲渡した場合の税率軽減の特例を廃止し、税率が引き下げられました。

      改正前(特例)改 正 後
      特別控除後の譲渡益 所得税 20%
      住民税 6%
      所得税 15%
      住民税 5%


      この改正は、平成16年1月1日以後に行う土地、建物等の譲渡について適用されます。

    2. 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例について、次の措置を講じた上で、適用期限が5年間延長されました。

      (1)税率が引き下げられました。

      特別控除後の譲渡益改 正 前改 正 後
      4,000万円以下の部分所得税 15%
      住民税 5%
      所得税 10%
      住民税 4%
      4,000万円超の部分所得税 20%
      住民税 6%
      所得税 15%
      住民税 5%


      (2)次の課税の特例を適用した場合は、この軽減税率の特例は適用されません。

      • 収用交換等により代替資産等を取得した場合の課税の特例
      • 換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例その他の課税の繰延べ措置
      • 収用交換等の5,000万円特別控除
      • 特定土地区画整理事業等のための2,000万円特別控除
      • 特定住宅地造成事業等のための1,500万円特別控除
      • 農地保有合理化等のための800万円特別控除
      • 居住用財産の3,000万円特別控除

      これらの改正は、平成16年1月1日以後に行う土地、建物等の譲渡について適用されます。

    3. 長期譲渡所得の100万円特別控除が廃止されました。

      この改正は、平成16年分以後の所得税及び平成17年度分以後の個人住民税について適用されます。


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    土地、建物等の短期譲渡所得の課税の特例


    短期譲渡所得の課税の特例について、税率が引き下げられました。

    改 正 前改 正 後
    次のいずれか多い方の税額
    (1)譲渡益の所得税40%、住民税12%相当額
    (2)全額総合課税をした場合の上積税額の110%相当額

    ただし、国等に対する譲渡については、次のいずれか多い方の税額
    (1)譲渡益の所得税20%、住民税6%相当額
    (2)全額総合課税をした場合の上積税額

    次の税額

    ・譲渡益の所得税30%、住民税9%相当額

    ただし、国等に対する譲渡については、次の税額

    ・譲渡益の所得税15%、住民税5%相当額


    この改正は、平成16年1月1日以後に行う土地、建物等の譲渡について適用されます。


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    土地、建物等の譲渡損失の損益通算の廃止


    土地、建物等の長期譲渡所得の金額又は短期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額については、土地、建物等の譲渡による所得以外の所得との通算及び翌年以降の繰越しが認められないことになりました。

    この改正は、平成16年分以後の所得税及び平成17年度分以後の個人住民税について適用されます。


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    住宅ローン減税の見直し


    住宅借入金等特別控除制度については、平成15年分の制度が1年延長され平成16年分に適用され、平成17年分以後は減税規模が段階的に縮小されます。

    平成16年から平成20年までに居住の用に供した場合の住宅借入金等の年末残高の限度額及び控除率(控除期間10年間)は次のとおりです。
               
    居住年 住宅借入金等の年末残高 適用年・控除率 最大控除額
    平成16年 5,000万円以下の部分 1年目から10年目まで1% 500万円
    平成17年 4,000万円以下の部分 1年目から8年目まで1%
    9年目及び10年目まで0.5%
    360万円
    平成18年 3,000万円以下の部分 1年目から7年目まで1%
    8年目から10年目まで0.5%
    255万円
    平成19年 2,500万円以下の部分 1年目から6年目まで1%
    7年目から10年目まで0.5%
    200万円
    平成20年 2,000万円以下の部分 1年目から5年目まで1%
    6年目から10年目まで0.5%
    160万円


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    非上場株式等の譲渡所得の税率の引下げ


    上場株式等以外の株式等を譲渡した場合における株式等に係る譲渡所得等の金額に対する税率が所得税15%、住民税5%(改正前 所得税20%、住民税6%)に引き下げられました。

    この改正は、平成16年1月1日以後に行う株式等の譲渡による所得について適用されます。


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    確定申告をしなければならない人


     1年間に得た所得金額の合計額から所得控除額を差し引き、その金額をもとに計算した税額があるときは確定申告をしなければなりません。

     ただし、サラリーマンは毎月の給与や賞与から所得税が源泉徴収され、12月に年末調整で過不足額の精算が行われるため、次に該当しない限り確定申告の必要はありません。

    1. 給与収入が年間2,000万円を超える人

    2. 給与所得や退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人

    3. 給与を2か所以上からもらっていて、年末調整をされなかった給与の収入金額と給与所得や退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人

    4. 同族会社の役員やその親族などで、その会社から給与のほかに貸付金の利子や不動産の賃貸料などの支払いを受けている人

    5. 給与について災害減免法の適用を受けている人

    6. 家事使用人などで給与の支払いを受ける際に所得税を源泉徴収されていない人

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    確定申告をすれば税金が戻る人


     確定申告をする必要がない人でも、次のような人は、確定申告をすれば源泉徴収や予定納税で納めすぎた税金が戻ってきます。
    1. 源泉徴収された配当や原稿料などの収入が少額で、その他の所得も少ない人

    2. 年末調整を受けたサラリーマンで次に該当する人
      • マイホームをローンで取得した人   
      • 多額の医療費がかかった人   
      • 年末調整のときに申告もれがあって控除を受けなかった人   
      • 災害や盗難にあって被害を受けた人   
      • 特定の寄付をした人   
      • 特定支出額が給与所得控除額を超える人

    3. サラリーマンで、年の中途に退職し年末調整を受けなかった人

    4. 予定納税をしたが確定申告の必要がなくなった人

    5. 退職所得者で、源泉徴収された所得税について定率減税の適用を受ける人

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    確定申告の申告期限


     確定申告は、所得があった年の翌年2月16日から3月15日までの間に行います。確定申告をしなければならない人が、申告期限内に確定申告書を所轄税務署に提出しなかったり確定した税金を納付しなかったときは、加算税や延滞税などが徴収されることになります。
     なお、還付を受けるための申告書は2月16日前でも提出できます。また申告期限後であっても5年間は提出できます。

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    確定申告書の種類


     確定申告書Aと確定申告書Bのいずれかを使用し、分離課税の所得がある場合や損失が生じている場合には、確定申告書Bに併せて分離課税用又は損失申告用の確定申告書を使用します。

    1. 確定申告書A(第一表、第ニ表)

       次の要件のすべてに該当する人が使用します。

      • 給与所得、雑所得、配当所得、一時所得以外に申告する所得がないこと
      • 予定納税がないこと
      • 変動所得・臨時所得の平均課税の適用を受けないこと
      • 繰越損失額がないこと

    2. 確定申告書B(第一表、第ニ表)

       確定申告書Aを使用する人以外の人が使用します。
       

    3. 確定申告書(分離課税用 第三表)

       次の人が使用します。

      • 土地建物等の譲渡所得がある人
      • 申告分離課税の株式等の譲渡所得等がある人
      • 申告分離課税の商品先物取引に係る雑所得等がある人
      • 山林所得がある人
      • 退職所得について申告する人

    4. 確定申告書(損失申告用 第四表(一)、第四表(ニ))

       次の人が使用します。

      • 平成16年分の所得金額が赤字の人(原則として青色申告者のみ)
      • 雑損控除額を平成16年分の所得金額から控除すると赤字になる人 
      • 繰越損失額を平成16年分の所得金額から控除すると赤字になる人 
      • 居住用財産の買換えの場合の譲渡損失額を平成16年分の所得金額から控除すると赤字になる人

    5. 修正申告書(別表 第五表)

       確定申告書を提出し、その申告期限後に納税額の過小、還付税額や損失の金額の過大が判明した場合などに使用します。


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    所得税の計算順序


     確定申告をする場合、税額は次の4段階で計算します。

    1. 各種所得の所得金額の計算

       所得を10種類に分けて、各種所得の所得金額をそれぞれ計算します。

    2. 課税標準の計算

       各種所得の所得金額を合計します。なお各種所得に赤字の所得があるときは、その赤字の所得は黒字の所得から差し引きます。また前年以前に発生した繰越損失があるときは、その繰越損失額もここで差し引きます。

    3. 課税所得金額の計算

       課税標準から基礎控除などの15種類の所得控除額を差し引いて課税所得金額を計算します。

    4. 納付額または還付額の計算

       課税所得金額に税率を掛けて税額を算出し、算出税額から税額控除額や定率減税額を差し引いて申告納税額を計算します。さらに既に納めている源泉徴収税額や予定納税額を差し引いて、確定申告で納付すべき税額または還付を受けるべき税額を計算します。

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    所得の種類と計算方法

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    所得控除の種類と控除額

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    所得税の税額表


    課税される所得金額 税 率 控 除 額
    1,000円から 3,299,000円まで 10% 0円
    3,300,000円から 8,999,000円まで 20% 330,000円
    9,000,000円から 17,999,000円まで 30% 1,230,000円
    18,000,000円以上   37% 2,490,000円

    平成16年分の所得税について、所得税額の20%(上限25万円)が定率減税されます。

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