- 給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振替
様々な形で働く人をあまねく応援し、「働き方改革」を後押しする観点から、特定の
収入にのみ適用される給与所得控除や公的年金等控除から、どのような所得にでも適用
される基礎控除に、負担調整の比重を移していくことになりました。
こうした基本的考え方の下、給与所得控除・公的年金等控除を10万円引き下げるとともに、
基礎控除を同額引き上げることとされました。
- 給与所得控除
給与所得控除の上限については、平成26年度税制改正により段階的に引下げが
行われてきましたが、これまでの方針に沿って、引き続き給与所得控除の上限の引下げ
が行われました。
ただし、子育てや介護に対して配慮する観点から、23歳未満の扶養親族や特別障害者である
扶養親族等が同一生計内にいる者については、負担増が生じないよう措置が講じられました。
@ 給与所得控除額が一律10万円引き下げられました。
A 給与所得控除額の上限額が適用される給与等の収入金額が850万円
(改正前:1,000万円)とされるとともに、その上限額が195万円(改正前:220万円)に
引き下げられました。
上記の改正に伴い、給与所得の源泉徴収税額表(月額表、日額表)、賞与に対する
源泉徴収税額の算出率の表及び年末調整のための給与所得控除後の給与等の金額の表等に
ついて所要の措置が講じられました。
- 特定支出控除
特定支出の範囲に、勤務する場所を離れて職務を遂行するために直接必要な旅費等で
通常要する支出を加えるとともに、特定支出の範囲に含まれている単身赴任者の帰宅旅費に
ついて、1月に4往復を超えた旅行に係る帰宅旅費を対象外とする制限を撤廃した上、
帰宅のために通常要する自動車等を使用することにより支出する燃料費及び有料道路の
料金の額を加えることとされました。
- 公的年金等控除
公的年金等控除については、給与所得控除とは異なり控除額に上限がなく、
年金以外の所得がいくら高くても年金のみで暮らす者と同じ額の控除が受けられるなど、
高所得の年金所得者にとって手厚い仕組みになっていました。
世代内・世代間の公平性を確保する観点から、公的年金等控除について
次の改正が行われました。
@ 控除額が一律10万円引き下げられました。
A 公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合の控除額については、195万5千円の
上限が設けられました。
B 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円を超え2,000万円
以下である場合の控除額を上記@及びAの見直し後の控除額から一律10万円、公的年金等に
係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が2,000万円を超える場合の控除額を上記@及び
Aの見直し後の控除額から一律20万円、それぞれ引き下げられました。
- 基礎控除
基礎控除については、所得の多寡によらず一定金額を所得から控除する所得控除方式が採用
されていますが、高所得者にまで税負担の軽減効果を及ぼす必要は乏しいのではないかとの
指摘等を踏まえ、「逓減・消失型の所得控除方式」を採用することとされました。
@ 控除額が一律10万円引き上げられました。
A 合計所得金額が2,400万円を超える個人についてはその合計所得金額に応じて控除額が逓減し、
合計所得金額が2,500万円を超える個人については基礎控除の適用はできないこととされました。
上記の改正に伴い、年末調整において基礎控除の適用を受ける場合に合計所得金額の
見積額を申告する等の所要の措置が講じられました。
| 居住者の合計所得金額 |
基 礎 控 除 額 |
| 2,400万円以下 |
48万円(43万円) |
| 2,400万円超2,450万円以下 |
32万円(29万円) |
| 2,450万円超2,500万円以下 |
16万円(15万円) |
| 2,500万円超 |
0円(0円) |
※( )は個人住民税の基礎控除額
- 青色申告特別控除
給与所得控除の引き下げに伴い、取引の内容を正規の簿記の原則に従って記録して
いる者に係る青色申告特別控除の控除額を55万円(改正前:65万円)に引き下げる
こととされました。
なお、取引を正規の簿記の原則に従って記録している者であって、次の要件の
いずれかを満たすものに係る青色申告特別控除の控除額を65万円とすることとされました。
@ その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子計算機を使用して作成する
国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律に定めるところにより電磁的記録の備付け
及び保存を行っていること。
A その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、その提出期限までに
電子情報処理組織(e-Tax)を使用して行うこと。
- この改正に伴う所得税法関係の改正
この改正に伴い、基礎控除及び給与所得控除の金額等を踏まえて設定されていた
金額基準について、所要の措置が講じられました。
@ 雑損控除
雑損控除の対象となる資産を有する親族に係る総所得金額等の要件・・48万円以下
(改正前:38万円以下)に引き上げ
A 寡婦(寡夫)控除
寡婦(寡夫)に該当するかどうかの判定におけるその者と生計を一にする子に係る総所得
金額等の要件・・48万円以下(改正前:38万円以下)に引き上げ
B 勤労学生控除
勤労学生の合計所得金額要件・・75万円以下(改正前:65万円以下)に引き上げ
C 配偶者控除
同一生計配偶者の合計所得金額要件・・48万円以下(改正前:38万円以下)に引き上げ
D 配偶者特別控除
対象となる配偶者の合計所得金額要件・・48万円超133万円以下(改正前:38万円超123万円以下)
とし、その控除額の算定の基礎となる配偶者の合計所得金額区分をそれぞれ10万円引き上げ
E 扶養控除
扶養親族の合計所得金額要件・・48万円以下(改正前:38万円以下)に引き上げ
F 給与等又は公的年金等の源泉徴収の際の配偶者に関する控除
源泉控除対象配偶者の合計所得金額要件・・95万円以下(改正前:85万円以下)に引き上げ
G 災害減免法の徴収猶予
徴収猶予限度額の算定をする場合には、基礎控除についても他の各種控除と同様に、
その見積額により計算することとされました。
この改正は、平成32年分(2020年分)以後の所得税及び平成33年分(2021年分)以後の
個人住民税について適用されます。