<ニュートン先生もびっくり!  カオス理論>


フランスの数学者ポアンカレは19世紀に天体の3体運動の研究の中で、2つの天体の場合のときと比べて第三者の天体が加わると非常に複雑に影響を及ぼしあい天体の動きを正確に知ることができなくなることに気付いていました。

万有引力という決定論的法則に従いながら天体が3つになると複雑な相互作用により 正確に予測することができなくなるのです。

過去がわかれば未来を予測できる−単純な法則に従う世界ではこのような 決定論的な考え方がなされていました。
従って、予測できないような現象はその要因も複雑であると考えられていたのです。
ところが最近のカオス研究によって、非常に複雑な現象でも単純な法則に従っていることがあり、 単純な法則でつくられたものでも将来の予測ができないこともあることが解ってきました。

従来、単純な現象はニュートン的決定論で複雑な現象は量子論的確率論により説明できると考えられていましたが、カオス系の発見はこのような二文法的な考え方を無効にしました。


万能数学者であるポアンカレは、力学上の問題と純粋数学上の問題との関連性を見い出し、トポロジー(位相幾何学)という数学の新分野を開発しました。ポアンカレの死後、トポロジーは進化、発展し、カオス的運動を説明する有力な道具となったのです。

トポロジーは、「伸ばしたり、縮めたり、曲げたり、ゆがめたりして重ねられるものは同じ(同相)」として、そのような変形にもかかわらず、共通に備えている図形(空間)の性質を探ろうというものです。具体的には、形が四角形であろうが円であろうが、角度や各辺の長さ、面積が違ってもトポロジーではさしたる意味をもたず、その図形の裏に隠された根源的な本質(穴があるか、結び目があるか、つながっているか等)を探ることが問題となります。

数学の中で現在最も活発に研究されている分野の一つであるトポロジーは、日常のあらゆる場面でそのアイデアが生かされています(例えばJRの路線図等)。
また、トポロジーの世界では美人もそうでない人も、成績の良い人もそうでない人も平等であり、「平和」な世界です。


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