税効果会計の税務上の取扱い


(一)税効果会計と法人税の課税所得

税効果会計は、法人税等を控除する前の当期純利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とする会計処理の方法です。原則として税効果会計を適用する場合と適用しない場合とで、課税所得の金額に差異は生じません。

(二)将来減算一時差異の申告調整

  1. 発生時

    将来減算一時差異が発生した場合の申告調整は、法人税等調整額を別表4の減算・留保欄に記載し、繰延税金資産を別表5(1)の当期中の増減・増欄にマイナス記載します。 

  2. 解消時

    翌事業年度において将来減算一時差異が税務上損金として認められた場合の申告調整は、法人税等調整額を別表4の加算・留保欄に記載し、繰延税金資産を別表5(1)の当期中の増減・減欄にマイナス記載します。

(三)将来加算一時差異の申告調整

  1. 発生時

    将来加算一時差異が発生した場合の申告調整は、法人税等調整額を別表4の加算・留保欄に記載し、利益処分による圧縮積立金、特別償却準備金、その他租税特別措置法上の諸準備金(以下「諸準備金等」)の積立額を別表4の減算・留保欄に記載します。また繰延税金負債は別表5(1)の当期中の増減・増欄に記載し、税務上の諸準備金等の積立額は別表5(1)の当期中の増減・増欄にマイナス記載します。 

    利益処分方式により諸準備金等を計上した場合には、税務上の諸準備金等の積立額を明らかにするために、その諸準備金等の額とこれに関連する繰延税金負債の金額の種類別の明細表(利益処分方式による諸準備金等の種類別の明細表)を作成し、財務諸表とともに法人税申告書に添付します。この明細表が申告書に添付されている場合には、税務上は、利益処分による積立額とこれに対応する税効果相当額との合計額を諸準備金等として積み立てたものとして取り扱われます。

  2. 解消時

    翌事業年度において諸準備金等を取崩した場合の申告調整は、法人税等調整額を別表4の減算・留保欄に記載し、税務上の諸準備金等の取崩額を加算・留保欄に記載します。また繰延税金負債は別表5(1)の当期中の増減・減欄に記載し、税務上の諸準備金等の取崩額は別表5(1)の当期中の増減・減欄にマイナス記載します。

(四)過年度税効果調整額の申告調整

過年度分の税効果調整額は、会計上の当期純利益には影響を与えないので、別表4において申告調整を行う必要はありません。ただし、貸借対照表に計上した過年度分の一時差異に対する繰延税金資産(又は繰延税金負債)は、別表5(1)に記載する必要があります。

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