財務諸表の見方


  1. 財務諸表の性格

    企業の公表する財務諸表は経営活動の経過ないし結果の記録、計算、集計の過程をへて作成されますが、このような処理の行われる過程で各種の会計上の判断や見積りが介入します。
    したがいまして、会計処理の結果作成される財務諸表数値は決して客観的な事実のみを表明するものではなく、主観的な判断や見積りを含むものであるということに留意すべきでしょう。

  2. 実践的な見方

    選択した会計処理基準によって財務諸表数値が異なってくることから、業績のよくない会社が無理に利益を多く計上したり、逆に業績のいい会社が利益をできるだけ抑えて計上するといったことが多くみうけられます。
    また認められている会計処理基準を逸脱した粉飾が行われる場合がありますが、このような「粉飾決算」によって作成された財務諸表はその会社の経営実態から大きく乖離していることが多いので十分注意しなければいけません。
    財務諸表を通じて企業の収益力や財務内容の実態をできるだけ正確に把握するためには、上記のような財務諸表の性格を心得て財務諸表を数期間比較したり、他社の財務諸表との比較を行うなど多角的に分析していくことが必要です。

  3. 財務諸表分析の限界

    財務諸表の分析を外部分析といいますが、会社の経営者や管理者が自社の経営状態を知るために行う内部分析に比し、次のような限界があります。

    • 公表される財務諸表は会計数値を一定の形式で報告するものですが、会社の経営状態を的確に把握するには数値情報だけではなく非数値情報を収集分析する必要があります

    • 会社内部にあって経営の事情に精通し様々な資料を利用できる内部分析に比べると、公表数値のみの分析は質的に劣ります

    • 財務諸表の数値は決算日後時日がたったあと公表されるもので現状分析及び将来予測を行うには限界があります

    財務諸表の分析には上記のような限界がありますが、株主や債権者などの利害関係者にとって公表される財務諸表はその会社を理解するためにこのうえない手がかりとなるものです。
    したがいまして株主や債権者などの利害関係者が会社の実態を的確に把握していくには、外部分析の限界を理解したうえで、公表される財務諸表を時系列比較や他社比較など多角的に分析をおこなったり、非数値情報や将来的な情報など会社に関する情報を幅広く収集していくことが必要となってきます。



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