利用目的と種類 |
デリバティブは金利、為替、商品価格など将来の変動によって被る恐れのある損失を回避するために利用されます。
もともとデリバティブはリスクをヘッジしたいというニーズから生まれました。1972年にアメリカで変動相場制移行による為替リスクのヘッジのため通貨先物が導入され、翌年、個別株式のオプションが株価変動に伴うリスクをヘッジしたいというニーズのため生まれ、1980年代初頭には金利の変動に伴うリスクをヘッジするため、金利スワップ取引が始まりました。
利益を得る目的でデリバティブを利用しようとするものです。
デリバティブ取引にはレバレッジ効果があるため少ない資金でも多額の取引ができ、予想どおりに相場が変動したときには多額の利益を得ることができますが、相場が逆に動いたときは多額の損失を被るハイリスク・ハイリターンの取引となります。
デリバティブ取引を行っている市場間で生ずる相場のずれを利用して差額の利益を得ようとするものです。各種商品の市場間で時間差、地域差などにより生じた微妙な相場のゆがみを把握してそれらの市場で取引を行い差益を獲得しようとするもので、通常裁定取引が行われることで相場のずれは解消されます。
将来の特定の期日に取引する商品等の価格を現時点で確定し、受渡決済若くは差金決済を行う取引です。
取引は、債券や株式、金利ほか通貨や砂糖、ゴムなどの商品、株価指数など証券・商品取引所に上場されている規格化された商品を対象として行われます。
差金決済が一般的であるため、現物取引のように多額の資金を用意しておく必要はありません。
また、取引所が仲介しており、委託証拠金制度によってほとんど信用リスクはありません。
オプション取引とは将来の特定時点にあらかじめ定められた価格(権利行使価格)で、通貨、金利、債券、株価指数などの対象商品を「買う権利」や「売る権利」売買することをいいます。
「買う権利」のことをコール・オプション、「売る権利」のことをプット・オプションといい、オプション取引は次の4種類に分類されます。
- コール・オプションの購入
- コール・オプションの売却
- プット・オプションの購入
- プット・オプションの売却
取引あたって権利を買ったほうはプレミアムと呼ばれるオプション料を権利を売ったほうに支払うことになっています。オプションの買手はオプションの権利を行使するか放棄するかを決定できますが、オプションの売手は買手の権利行使に応ずる義務を負い、拒否することはできません。
したがって、オプションの買手の損失は支払ったオプション料を限度とし、権利を行使することで利益が無限に膨らむ可能性があるのに対し、オプションの売手の損失は無限で利益はオプション料を限度とすることになります。
スワップ取引とは複数の当事者が決定された条件のもとで、異なる金利や通貨を交換する取引をいいます。
異なる金利を交換する金利スワップと異なる通貨を交換する通貨スワップ とに大別されますが、それらの発展形態として次のような商品が開発されています。
- 金利・通貨スワップ
金利スワップと通貨スワップを組み合わせたスワップ取引です- ベーシス・スワップ
同じ通貨で種類の異なる変動金利を交換するものです- クーポン・スワップ
通貨スワップの一種で、元本交換を行わず異種通貨の金利のみを交換する取引です- アセット・スワップ
保有する債券や貸出債権等の資産の金利を異種の通貨や金利と交換するものです- スワップション
スワップ取引の行使(又は解約)を権利とするオプション取引をいいます
先物取引と同じように取引対象となる商品の将来の価格を予約して決定する取引ですが、次の点で先物取引と異なっています。
- 先物取引が取引所取引なのに対し、先渡取引は売り手と買い手が個別的に売買条件を決めて取引を行う「相対取引」です。
- 先物取引では相手が「取引所」で証拠金の差入をすれば信用リスクを考える必要はありませんが、先渡取引は相対取引のため、取引の相手に対する信用リスクを考慮する必要があります。